「ピアノ教室を開きたいけれど、開業までに何をすればいいかわからない」
そんな方は多いのではないでしょうか?
友人や知人の子供に教えたことはあっても、本格的に教室として運営したいとなると話は別ですよね。開業資金はもちろん、開業届の出し方や生徒の集め方など、レッスン以外にも考えなければいけないことはたくさんあります。
本記事では、これからピアノ教室の開業を考えている方へ向けて、今の段階から開業するまでにやるべきことをわかりやすく解説していきます。
ピアノ教室開業までの流れ
まず始めに、ピアノ教室開業の流れについて解説します。
どんなピアノ教室を開業するのかによっても流れは多少変わってきますが、基本的には以下のような流れになっています。
- 開業する場所を決める
- 開業資金の調達
- 物件の契約
- 開業届の提出
- レッスンの内容・価格を決める
- 集客
- 請求・決済システムの選定
- 開業
ここからは、それぞれの手順について詳しく解説していきます。
開業する場所を決める
まず大切なことは、どこでピアノ教室を開業するかを決めることです。どこで開業するかによって、開業資金やレッスンの運営方法も大きく変わりますので、自分がどんなピアノ教室を運営していきたいのかしっかり考えておきましょう。
自宅で開業する
自宅を教室として使うと固定費が抑えられるため、教室スタートの一歩目としては自宅で始める人も多いです。しかし、無視できないデメリットもあります。
自宅開業のメリット
- 月の賃料や初期費用が不要
- テナントへの通勤が不要
デメリット
- 住所が知られてしまうため防犯上のリスクがある
- 近隣住民や家族の迷惑になる場合がある
- 防音設備がない場合は防音工事が必要
自宅でピアノ教室経営をすると初期費用や交通費などを抑えることができ、教室の維持費もすことができます。万が一生徒が集まらなかった場合でもそこまで大きなダメージもありません。
しかし、大家や近隣住人へ理解を求める必要があったり、防犯上のリスクも伴うといったデメリットもあります。
テナントを借りて運営する
開業資金に余裕がある場合や、一念発起してピアノ教室経営をしたいという場合は、テナントを借りてピアノ教室を運営するのも良いでしょう。こちらもメリットとデメリットをまとめました。
テナントを借りるメリット
- 見込み客(生徒になりそうな人)が集まりやすい場所を選べる
- プライベート空間と仕事を分けられる
- 家族や近隣住民を気にしなくて良い
デメリット
- 開業資金を細かく計算して、多めに用意する必要がある
- テナントまでの通勤が必要
- 開業までに時間が必要になる
テナントを借りる場合は開業資金や運営資金が増えるため、確実に生徒を集め売上をつくらなくてはなりません。
何にどのくらい費用が掛かるかを計算し、通いやすい立地を考えての準備が必要です。しかし自宅ではないため、防犯面や近隣との付き合いという面では安心できます。
開業資金の調達
次は開業資金の調達についてです。ピアノ教室の開業に向けて「何にお金がかかるのか」、事前に初期費用を計算し、開業予算を明確にしましょう。
自宅で開業する場合
自宅でピアノ教室を開業する場合は、主に以下の初期費用が発生します。
相場で言えば10万~200万円ほどです。
- 備品(ピアノ、楽譜、メトロノーム、月謝袋、椅子)
- 教材費
- その他契約にかかる代金(WEB関連等)
- 宣伝費用
- 自宅に防音設備がない場合は、防音工事費用
賃料などが追加で発生するわけではありませんが「自宅にピアノがあるのか」「防音工事を行う必要があるのか」によって費用が大きく変動します。
既に自宅にピアノの練習環境があるのであれば基本的には初期費用なしで開業できますが、ピアノを購入する場合、アップライトピアノなら最低40万円、グランドピアノであれば最低100万円ほどは必要です。
防音工事を行う場合は1部屋当たり100万円ほどは想定しておいた方がよいでしょう。
テナントを借りて運営する場合
テナントを借りてピアノ教室を運営する場合は、以下の初期費用が発生します。
相場で言えば300万~500万円ほどです。
- 備品(ピアノ、楽譜、メトロノーム、月謝袋、椅子)
- 教材費
- その他契約にかかる代金(WEB関連等)
- 宣伝費用
- 防音設備がない場合は、防音工事費用
- テナント契約料
- 賃貸料
- 光熱費
自宅で開業する場合とほとんど変わりがありませんが、他の場所を借りてピアノ教室を運営していく分、テナント賃貸に関係する費用が発生します。また、直前の借主が音楽教室系でない場合、防音工事も必須になるでしょう。
賃料に関しては教室用に使えるテナントであれば最低でも20万~30万ほど。居住用の住宅と違い、契約時に6か月分から10か月分ほどの先払いを求められることもあります。
調達に使える豆知識
ここまでは開業資金の目安をお伝えしてきましたが、そのすべてを自分で用意しなくとも、開業資金の助けになる制度がたくさんあります。
ここでは、その中でも特に使いやすいものをいくつか紹介していきます。
小規模事業者持続化補助金
「小規模事業者持続化補助金」とは、従業員数が20人以下の小規模事業者を対象にした制度です。補助金の受取には一定の条件があり、補助金額は最大で50万円。
制度の名目上、事業を持続するためのサポートをする制度なので、
・開業届を提出している
・法人化をしている
上記のいずれかを満たしておく必要があります。
商工会議所でサポートを受けながら申請ができるので、条件に当てはまる場合は補助金や助成金などを活用していきましょう。
地域創造的起業補助金
「地域創造的企業補助金」とは、創業時に必要な経費の一部を国や地方公共団体が補助してくれる制度です。
開業してから1名以上の従業員を雇用する予定の法人や個人事業主が対象です。
以前は「創業補助金」という名前でしたが、2018年に「地域創造的企業補助金」という名前に変更されました。「創業・事業承継補助金」と名前が似ていてややこしいですが、運営している会社が異なるだけで制度自体の内容は一緒です。
「地域創造的企業補助金」の最大のメリットは、
・返済不要
・創業前でも申請が可能
という2点です。
「地域創造的企業補助金」の受給条件を満たしている個人事業主の方は多いので、積極的に活用していきましょう。
政策金融公庫
最後にご紹介するのが、「政策金融公庫」から融資を受ける方法です。
創業期に日本政策金融公庫で融資を受けることで、会社の信用実績をあげることが可能です。信用実績をあげることで、結果的に他の銀行からの融資を受けやすくなります。
「政策金融公庫」のメリットは
・無担保・無保証で受けられる
・審査のハードルが低い
・審査のスピード感が早い
などが挙げられます。
物件の契約
資金調達の目途が立ち、テナントを借りる場合は物件の契約を進めましょう。物件を探すためには獲得したい生徒さんが立ち寄りやすい場所かどうかを考慮しましょう。
本項では、物件の契約時に注意しておくべきポイントを解説していきます。
防音性
ピアノ教室で最優先したいのが、防音性です。
防音性のないピアノ教室では、騒音トラブルがつきもの。専用の防音ルームをつくるのか、アップライトピアノの場合は防音シートだけで充分に防げるのかをしっかり考え、必要な場合は防音工事をする必要があります。
貸主や不動産業者とよく相談しながら、ピアノ教室ができそうな物件を探していきましょう。
間口の広さ
ピアノの搬入に差支えのない間口の広さがある物件が必要です。特にグランドピアノは分解ができないため、間口が広くないと搬入そのものができなくなってしまいます。
教室で利用するピアノの大きさの採寸をはじめ、搬入業者との打合せも行い、ピアノ搬入に差支えない間口の広い物件を探しましょう。
開業届の提出
開業届とは「個人事業主になる」ことを税務署に申請する書類のこと。「融資、助成金の申請」や「事業納税」が必要になるため、税務署への届け出は必須としてください。
開業届は、事業を新しく開業した際に提出する以外にも、下記の場合に届け出が必要です。
• 事業用の事務所・事業所の新設や増設・移転・廃止したとき
• 事業を廃止したとき
どこに出せばいい?
開業届を出すタイミングは、開業日から1ヶ月以内に自宅住所を管轄する最寄りの税務署に提出します。提出方法は3種類です。
• 税務署へ直接提出
• 郵送
• e-tax
郵送で提出の際には、必ず控えを返送してもらえるように返信用封筒も同封の上、贈るようにしましょう。
開業届の書き方
開業届自体は、国税庁ホームページから申請書のダウンロードが可能です。新しく開業する人が開業届に記載する項目は、以下の項目です。
• 届出の区分を「開業」に◯をつける
• 所得の種類は、不動産所得・山林所得・事業(農業)所得から適したものを選択
• 開業・廃業等日には、開業した日を記載
• 事業の概要には、これから始める事業の内容(ピアノ教室)をできるだけ具体的に記入
• 個人番号(マイナンバー)を記載
税務署の窓口に直接提出する場合、マイナンバーカードや運転免許証・パスポートなど本人確認ができるものが必要ですので、忘れずに持参しましょう。
郵送で申請書を提出する場合は、本人確認ができるものの写しを「本人確認書類(写)添付台紙」に添付し、郵送します。
e-Taxでの提出の場合、現時点では本人確認書類は不要ですので、そのまま電子書類を提出してください。
レッスンの価格を決める
続いては、ピアノレッスンの価格を決めていきましょう。レッスンの価格は、どんな人を生徒にしたいかやレッスン時間、レッスン内容によって変動します。
では、レッスンの月謝の相場はいくらでしょうか。
月謝の相場はどれくらい?
月謝の金額は、レッスンの対象やレベルによって変動しています。
大手ピアノ教室の平均月謝も記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
大手 | 個人 | |
子供向け | 7000円~ | 6000円~ |
初心者向け | 6000円~ | 5000円~ |
経験者向け | 8000円~ | 8000円~ |
月謝自体は大手ピアノ教室よりも個人運営の教室の方がやや安い傾向にあるようです。
ブランド力がない分価格で勝負している教室が多いイメージですが、経験者向けのマンツーマンレッスンであればその限りではありません。ある程度レベルの高いレッスンになると、大手も個人運営も月謝は変わらなくなっていく傾向です。
集客
レッスンの月謝まで決めたら、生徒を集めましょう。
HP(ホームページ)の用意
集客を行っていくにあたって、まずはHPの用意をしましょう。小規模な教室であればHPは不要かとも思えますが、せっかく知ってもらっても、HPが無いと「本当にちゃんとしたピアノ教室なのか?」不安に思われてしまう可能性もあります。
HPを用意する場合は、自分で用意する方法と制作を依頼する方法があります。自分で用意する場合は「Wix」などのサービスを使って作るケースが多くなるでしょう。
制作を依頼する場合、費用は掛かってしまいますが、出来上がりのクオリティが高くなり、教室の信頼度UPに貢献してくれるでしょう。
チラシを配る
HPの用意ができたら、いよいよ自身の教室を広めていきましょう。
自宅であれテナントであれ、店舗を構えて運営する場合は地域の住民に知ってもらう必要がありますので、店舗の付近や駅前でチラシを配るのが有効です。
新規オープンであれば、合わせて新規入会キャンペーンなども開催しておくといいでしょう。
SNSで宣伝する
最近では、SNSでお客様を集める人も増えています。代表的なSNSツールは以下の通りです。
• Twitter
• Instagram
• Facebook
• YouTube
ピアノ教室であれば、実際の演奏の様子を動画にしておくことで講師のレベルをアピールすることもできるので、SNSとの相性は非常に良いと言えます。
それぞれのSNSの特徴を理解し、同業者向けあるいは興味を持ってもらえる内容を投稿することを心がけましょう。
もし、すでに無料体験レッスンを開始している場合は、生徒さんの口コミや、レッスン時の様子も投稿すると良いでしょう。
請求・決済システムの選定
請求・決済システムは、開業後の売上請求~管理を効率的に行うためシステムです。創業期から準備することによって、開業直後でもお金や顧客管理を柔軟に行えるだけでなく、ピアノ教室の運営が快適になります。
小さな規模でもシステムを入れるメリットはある
請求・決済システムを導入しないまま手書きでの記帳や管理をしていると、年度末に所得税等の税金を申告する確定申告の時に、書類の記載が手間になってしまいます。
請求・決済システムを取り入れることで生じるメリットを2つ紹介しますので、請求・決済システム導入の指標にしてみてください。
毎月の集金が楽になる
請求・決済システムを導入することで、毎月の月謝の集金が楽になります。多くの請求・決済システムは請求書の作成から集金までWEBで完結できるものが多く、管理も手間取りません。
入金の確認が不要になる
請求・決済システムを導入すれば、入金したかどうかの確認が不要になります。多くの請求・決済システムには入金後の確認を自動でおこなえるため、万が一、月謝未回収があったとしてもひと目でわかります。
また、自動催促機能も導入されていますので、月謝の未回収を忘れることもありません。
おすすめのシステム
請求・決済システムはたくさんの種類があり、どれを導入したらよいのかわからなくなってしまいがちです。
下記のページでは、月謝や会費の管理・徴収に使いやすいシステムをまとめています。
ぜひ参考にしてみてください。
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開業
請求・決済システムも決まり、月謝の支払いの仕組みさえ構築したら、最後はピアノ教室の開業を待つのみです。
ピアノ教室の運営には特別な資格は必要ありません。しかし、開業してから繁盛させるためには経営的な目標設計なども必要になります。
将来に向けて計画的にビジネスを盛り上げましょう。
「ピアノ教室の開業に必要な準備や資金、手続きについて徹底解説」まとめ
ピアノ教室を開業したいと考えている人に向けて、準備から資金調達、開業までに必要なことをまとめました。
当社では、前述でご紹介した「入会手続き・会員管理・請求管理・決済・入金管理」のすべてを自動化できるサービス「会費ペイ」を運営しています。

初期費用や月額費用が0円と手軽に導入できる会計システムですので、ピアノ教室開業の際にはぜひ導入を検討してみてください。
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